2015年 01月 28日
京町家のリフォームについて ♯01

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当事務所では現在、京町家リフォームの設計に取り組んでいます。

ご依頼頂いたのは戦前に建てられた京町家で、当時の伝統的な意匠が多く残っているという非常に魅力のある建物のリフォームです。最初に拝見した際に、これは出来る限りそのまま残すことは出来ないか?という素直な気持ちが湧きました。


一般的に建築家というのは常に新しいことを提案して、新しいものを建てたりリフォームによって全く違ったものに生まれ変わらせる。といのが使命のように考えられがちです。しかし、こういう歴史が積み重ねられた建築物に対しては、建築を行った先人に敬意を払いながら、どう修理して残していくか?ということも考えます。つまり、全く逆ですが、いかにして変えないか?ということがテーマの1つになります。現代の住まいに対するに要望をまとめつつ、最小限手を入れる部分を見極めて快適に生活して頂くことを目指します。


と言っても、昔は良かったという結論でもって、単純に修理するだけにとどめる訳ではありません。現代の住まいに関する施主の基本的な要望というのは、町家だから、リフォームだから新築と特別違うか?というと、そのようなことはありません。新築であれ、リフォームであれ、今の生活スタイルに合う、快適で楽しい住空間が欲しいと思う気持ちは全く同じです。それにしっかり対応しなければ、安心して長く住むことは出来ません。


・耐震(地震に対して強いこと。)

・断熱(夏涼しく、冬暖かいこと。エコ。)

・通風(風通しが良いこと。)

・採光(室内が明るいこと。)

・遮音(隣家に音が漏れないこと。外部の騒音を遮ること。)

・安全(防犯、防火、防水など)

・素材(強度、耐久性、美観など)

・設備(照明、キッチン、浴室、洗面、トイレ、エアコン、床暖房、給湯器、換気扇など)


これら基本的な要素を考慮して、プランニングしていくのは普通の新築住宅の設計と全く同じです。

ただ、既存の建物があるので、それを前提として考えないといけないので、最初にその建物を良く知ることが大切です(物理的な面でも、文化的な面でも)。特に先人の知恵が詰まっていると考えられる伝統的な住まいの形式は、良く調べて考える価値があると思います。そして、その調査をベースにした提案が大切だと考えます。


次回は調査について書いてみたいと思います。

(♯02 につづく)



# by acehatano | 2015-01-28 21:44
2015年 01月 23日
OAK FRAME MIRROR

幅:800㎜×高さ:1800㎜ 大型の姿見です。

玄関に設置する姿見をデザインして欲しいというご依頼を頂きました。お出かけする時に、靴までしっかりと身だしなみをチェック出来る大きさで、枠は細くてシャープなイメージ、それを木製で。というご要望でした。

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軽やかなデザインで、空間に違和感無く溶け込み、部屋を広く見せる効果もあります。また目の揃ったオーク材の枠は上品なあたたかみがあります。


(加工について)

枠を細く仕上げる為には、強度の限界まで枠を細くすれば良いのですが、細くし過ぎると木枠の強度が足りなくなります。そこで、前から見ると細く見えるように加工して、背後に丈夫なフレームを仕込みます。さらに、今回は鏡のサイズが特に大きくて重量があることから枠をしっかり組み付ける為に接合部分も十分な強度の出る接合方法を採用しています。木工用語では「隠し5枚留め接ぎ」と言います。細さと耐久性の良いバランスを探ってみました。見た目はシンプルですが、見えないところにもこだわっています。さらに鏡を綺麗に見せる為の細かい工夫もしてあります。

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他には、将来鏡を別の場所に移動するかもしれないという可能性を考えて、木製のフックを製作し、そこに鏡の背面を引っ掛けるようにして設置しました。これは、シェーカー家具や建築家/ルイス・カーンの家具(ユニタリアン教会)などで使われていた手法を応用したもので、とても安定感があります。そして、移動も大人が2人いれば簡単に出来ます。設置位置も現地でしっかり見極めてから設置したので、きっと当分は動かさないものと思いますが、寝室などに移動して設置することも可能です。


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設計オーダーをご希望の方はメールを頂けると対応可能です。
ご希望のサイズ、素材、仕上にて製作致します。

thatano@kyoto.email.ne.jp

まで。お待ちしております。
(但し一品生産でハンドメイドになりますので、完成まで時間は少々かかりますのでご了承下さい。)



デザイン・製作:波多野一級建築士事務所 + 坂田卓也製作所

材:オーク

仕上;オイル仕上



# by acehatano | 2015-01-23 22:21 | 作品
2015年 01月 20日
右京の家

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「庭と家具について考えた家」


住宅は敷地があってのものです。敷地の周辺環境を注意深く読み取って建物に光を取り入れること、風を通すこと、緑を植えること。これは建物の設計でもあるのですが、庭についての設計でもあります。


庭によって近隣住宅との距離を適度にとることでお互いの関係を良いものにし、十分なプライバシーの確保された室内空間をつくります。

又、自然環境の良い方角に向けて家を開放することや、良好な眺望などを庭を通して家に取り入れることも可能です。


建物本体を機能的に計画することも大切ですが、こういった敷地を生かす庭の計画は、安心して、落ち着いて暮らす為にはとても大切なものです。


また、部屋や各スペースには、それぞれに合った良い家具というものが大切になってきます。家具は、直接手や体に触れる部分でもあり、居心地の良さをダイレクトに感じる要素でもあります。そういう理由から、家具は素材や仕上を選んで、空間と一体的に設計しています。


建物本体だけでは無くて、敷地の周辺環境から外部空間としての庭、内部空間、そして家具までを連続的に考えて設計し、それらが生活の楽しみを支える。そういうことを考えた住宅です。



建築設計:波多野一級建築士事務所 + moda architects

構造設計:造形工学研究所 福永毅

建築施工:株式会社高橋工務店

造園:田中美穂植物店 + 庭彩宮の + オマメプランツ

家具:波多野一級建築士事務所、坂田卓也製作所(ダイニングテーブル・ベンチ)、村上椅子(ソファクッション)


竣工写真:沼田俊之







# by acehatano | 2015-01-20 00:12 | 作品
2015年 01月 04日
雪の金閣寺と銀閣寺
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京都は元日夕方から大雪で、街中も一面の雪景色となっています。
そこで、雪が降ったら一度見に行きたいと思っていた金閣寺を見に行きました。
京都では1年に一度あるか無いかという、雪で建物が覆われる日にしか見ることの出来ない貴重な風景です。又、金と白と青空という色の組み合わせは清々しくて綺麗です。建築には時間や季節により印象が異なることがありますが、それを見ることによって豊かな日本の四季を実感出来ます。

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金閣を見た次の日も、雪だったので次は銀閣寺に行ってみました。銀閣寺は銀色では無く、元々は黒色の漆で塗られていたらしいのですが、東山から昇る月を眺めるための背景(脇役)としての建築と考えるならそれも納得できます。月明かりに照らされた黒光りする銀閣も見てみたい気がします。

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銀閣寺の庭の展望台からは京都市内が望めます。とても綺麗な風景でした。






# by acehatano | 2015-01-04 11:09 | 散歩・旅
2015年 01月 01日
2015年 新年のご挨拶
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あけましておめでとうございます。
元日の京都は少し寒いものの、初日の出を見ることが出来たようで良い一日になりそうです。

今年で設立11年目になる波多野一級建築士事務所ですが、本年の方針は「ベーシックを追求する」。
ということで考えています。これ以上は削れないというシンプルさと、これ以上は必要が無いという豊かさを同時に満たすような建築を作りたいと考えています。

極論すると、建築は生活するためのハコである訳ですが、ただそれだけでは味気のないものです。ですので、色々と智恵を絞って様々な要素を加えて豊かな箱を作り上げていくのが建築家の仕事なのですが、昨今は行き過ぎていて重装備になり過ぎているものや、シンプルすぎて住まうことのイメージが出来ないものや、話題性が優先されて住まうことの本質を忘れたものが多くなってきている気がします。

そういう中で、再度一つ一つの設計要素(形状、素材、色彩、構造、設備、施工、生産、コスト等)を見直して、シンプルで十分な豊かさを感じられる適正な設計=ベーシックな建築のかたち、を追求したいと考えています。

本年もどうぞよろしくお願い致します。




「右京の家」
設計:波多野一級建築士事務所
施工:株式会社高橋工務店
写真:沼田俊之

# by acehatano | 2015-01-01 12:44 | その他
2014年 09月 25日
丹波橋の家
電車の線路に隣接し、かつ旗竿敷地という比較的厳しい条件に建つ住宅です。

電車の騒音や、周囲の家屋からの視線を建物の配置、窓の大きさと高さの工夫によって防御しました。簡単に言うと、騒音の来る方向の壁面は窓の少ないプレーンな面、つまり防音壁として幅広く立ち上げ、反対側に比較的静かな囲われた庭を設けてそちらにメインの大きな窓を一つ設けるというシンプルな方法にて対処しました。

救いだったのは、日当たりは良好で敷地面積に余裕があり、光や風の通り道を考慮することが出来、全体的に窓を小さくした割には明るく、風通しの良い空間に出来たことです。また、電車も極低速になる線路位置だったこともあって、実際屋内ではほとんど電車の音は気になりません。

空間的には、クライアントが友人を沢山招いて楽しめるように、気積の大きな伸びやかなスペースをメインに配置し、春秋には庭にも出て外部と一体的に使えるようにしました。庭にはジューンベリーを植えて新緑、紅葉、花、果実の採取も楽しむことが出来ます。

線路敷の隣で、奥まった敷地にあるという悪条件の住宅も、実際行ってみると豊かな空間があって居心地が良い。という意外性が出せればこのプロジェクトは成功ではないかと思っています。



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建築設計 波多野一級建築士事務所
構造設計 造形工学研究所 福永 毅
家具設計 坂田卓也製作所
建築施工 フォレストウッド
写真撮影 沼田 俊之

# by acehatano | 2014-09-25 23:49 | 作品
2014年 05月 10日
キャビネット
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5年前に設計させて頂いた「日向の家」のお客様より、キャビネットのデザインの依頼を頂きました。書斎で机の下に納まって、なおかつ天板に薄型プリンターも置ける寸法で・・・というご依頼でした。(実は1年前のお話なのですが・・・少々ご紹介が遅くなりました。)

中に納める物や、机の大きさやプロポーションからサイズを決定し、デザインの方向性を決めてスケッチを描きます。そして、詳細デザインと製作は今回も坂田卓也さんにお願いしました。

キャビネットは箱物家具と言って、一般的には天板以外は無垢材で製作しないことが多いのですが、これは5面がナラの無垢材で製作されています。実際の板厚は厚めで頑丈なのですが、そのままだと鈍重なデザインになってしまうので、フチ(小口)を薄くして軽快に見せる工夫がしてあります。又、ツマミはウォルナット材の削り出しとなっています。様々な積み重ねの結果として、空間との相性はとても良かったです。

徐々にですが、建築設計とセットで家具についてご相談頂くことが多くなってきてました。日本での民芸運動や、ドイツのバウハウスなどのように許される限り、建築、家具、照明、日用品に至るまで生活全体をデザインし、空間を充実させたいと考えています。

# by acehatano | 2014-05-10 17:35 | デザイン
2014年 01月 06日
2014年 新年のご挨拶
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明けましておめでとうございます。

今年でA.C.E. 波多野一級建築士事務所は設立10周年を迎えます。
これも皆様のおかげと心より感謝申し上げます。

独立当初より設計一筋に無我夢中で図面を描き続けて、長いようで一瞬の出来事のようにも思えます。その期間、色々感じることもありました。特に

・建築は一般の方にとって非常に分かりにくい世界であること。
建築にまつわる様々なことを設計者は一般の方に分かりやすく翻訳・説明する必要がある。

・設計と施工(工務店、職人さん)、メーカー(材木屋さん、建材屋さん、設備屋さん等)との協力関係は大切であること。
机上の空論では良いものは作れません。

・京都>関西>日本という場所に事務所を構えていることを再確認すること。
ここでしか出来ないことがあり、良い点を発見して設計に生かしてゆくことが大切です。


当たり前のことなのですが、当たり前のことを普通に出来るようになるのは案外難しいと思っています。これからは、設計活動の実践を通して感じた以上の課題について取り組んでいきたいと思っています。

皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

# by acehatano | 2014-01-06 11:31 | その他