2016年 07月 25日
祇園祭2016  後祭巡行


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昨日は後祭巡行でした。今年は前祭、後祭ともに巡行が日曜日だったので大勢の観衆で賑わっていました。
写真は大船鉾です。山鉾はその見事な懸装品から動く美術館と言われていますが、2年前に巡行に復帰した大船鉾は今年、迫力ある龍頭を新たに復元し船首に取り付けていました。現在、「白木の鉾」ですがこれから漆塗りなど順次復元新調していくそうです。毎年その変化していく姿を見るのも楽しみの一つになりそうですね。




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その後は寺町通りで華やかな花傘巡行を見終わると、これでいよいよ暑い夏本番が来るなあと感じます。

# by acehatano | 2016-07-25 23:14 | 散歩・旅
2016年 04月 07日
京町家のリフォームについて ♯03


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前回の記事から、あっという間に一年が経過してしまいました。
既にリフォームも完成しており、完結編になっています。
(調査編はいずれまた改めて書きたいと思います。)

明治時代後期、築117年の京町家のリフォームです。
最初に今回の計画について要点を端的に書き出します。

1.懐古趣味的な、オリジナルの町家が好きな人の為のリフォーム計画では無く、現代的な生活の為のリフォームであること。

2.現代の一般的な住宅の性能を満たしていること。単純に言うとそれは、断熱性能(省エネ)と耐震性能(安心)である。

3.京都市の長屋型町家が抱える問題について取り組んだこと。

懐古趣味とは、古いものや伝統的な手法により作られたものを好むことを言いますが、それを否定している訳ではありません。好みは人それぞれであって良いと思っています。伝統的な住宅(町家)の改修について、多くのバリエーションが存在することは好ましいことです。



※以下、長文になりますがもし宜しければ読んで下さい。

京都に住んでいると1200年以上の歴史がある都市ゆえに、当たり前のように古い建物や伝統的な文化に触れる機会が多くあります。
その良さは、この都市に住むことで自然と感じ取れるようになります。伝統的な様式を好む人が多く存在することで伝統的な文化や都市景観の保存が促進されることも大切なことです。

しかし、117年の年月を封じ込めたこの町家の持つ形式は当時の生活様式や社会的背景とは異なるため、一部の市民にとっては賞賛されるだけのものではありません。(例えば、断熱性能がほとんど無く冬寒くて隙間風が多いことや、インテリアエレメントや家具が合わないことなど。)
よって、今回は伝統的な町家の良さを理解しながら、クライアント個人の持つ現代的生活像とのギャップを解消することが計画の目標になりました。

デザインや外観の問題を除外すれば、極めて荒く言うならばそれは、断熱性能と耐震性能の問題だと考えています。冬暖かく、夏は涼しく、安心して暮らせる住まいを求めると必要な性能です。通風に関しては、町家は優れた形式を持っています。
法的制限と、予算による制限の中で、外皮を可能な限り断熱することを考えました。伝統的な建築の壁は土壁であることが多く、壁の中に断熱材を封入することが不可能な為、外壁の外面か内面に断熱材を付加するかたちで断熱を行います。しかし、密集市街地の町家の輪郭は多くの場合、敷地境界と一致していることが多く、現状より輪郭を大きくすることが出来ません。今回もそのケースに当たるため、内側に断熱材を付加する方法を採用しました。


耐震補強については、地震力に対して柔軟性のある構造体(軸組)と柔軟性のある土壁(耐力壁)の組み合わせによって抵抗する伝統木造工法に最も合った補強計画を、構造専門一級建築士の枡田洋子氏に計画の初期段階から入ってもらって考えました。
近年の木造の研究結果から、現代の木造(剛)と、伝統工法による木造(柔)の耐震に対する考え方は異なっていると言われており、それぞれに適した補強方法があります。現時点ではどちらが優れているということは無く、特にリフォームについては、それぞれ現状を見極めた計画が最も大切です。既存の構造体がそもそも弱い、ということをしっかり自覚して、少なくとも既存より強度が落ちるような計画をしないことも古い建物に手を加えるときは重要なポイントです。

もう一点、本計画建物は長屋型京町家と言って、3軒の町家がそれぞれの境界壁を共有している形式であり、構造としては3軒で1棟の建築物です。3軒とも所有者が異なり、3人のうち1人の住人が構造補強をしたいと考えても、構造体の1/3にしか手を加えることが出来ないのが現実です。
つまり、構造のリフォームを行っても1/3の補強強度しか発揮できずに終わるのです。3世帯の住人が同意の上、同時に構造のリフォームを行えば十分な補強が可能ですが、各世帯の事情を考えると、ほとんど不可能に近い話になります。
こういう長屋形式の京町家が京都市内には10000軒以上存在します。その数は京町家全体の約1/4を占め、耐震補強が進まない原因の1つにもなっていると言えます。

そこで、その打開策として考えたのが3棟を同時に現況の構造調査を行い、将来いつかするであろう構造補強計画を3棟同時に検討することでした。
現時点では1/3のリフォームでしか無くても、将来的にどの部分を補強すれば長屋全体の強度が増すのかが分かっていれば、少なくとも可能性は開けると考えました。
幸い、この建物の他の2軒にお住まいの方にご協力して頂き、計画することができました。


また、この計画を元にして今後長年にわたって住み継いでもらうことが出来れば、個人的要望から始まったリフォーム計画が、いずれ町並みの形成にとって役立つのではないかと考えました。

以上の基礎的な考察の上で、目指したのは町家本来の構造を大切にしつつ、現代的な生活にフィットする住まいに改修することです。




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建築設計:波多野一級建築士事務所

構造補強計画:桃李舎

建築施工:高橋工務店

写真撮影:沼田俊之

# by acehatano | 2016-04-07 16:37 | 作品
2016年 01月 29日
オープンデスク生の募集について
波多野一級建築士事務所にて、オープンデスク生を募集致します。
条件は建築系の大学生又は卒業生とします。
期間や日数については、相談の上決めたいと思います。

現実の建築設計に関わることに意欲的な方、建築空間が実際に立ち上がることを楽しめる方。
将来建築設計を仕事にしたい人、施工、研究職に就きたい人。その他。
自分の進路について、真剣に考えているのであれば何れも構いません。

出来る限りしっかり教えますので、意欲のある人を募集します。

ご希望の方は、メールにてお問い合わせ下さい。mail address
thatano@kyoto.email.ne.jp

homepage
http://www.ne.jp/asahi/ace/kyoto/index.htm

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# by acehatano | 2016-01-29 00:51 | オープンデスク募集
2016年 01月 02日
2016年 新年のご挨拶
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あけましておめでとうございます。
今年の京都のお正月は、昨年の大雪と違ってとても暖かくて過ごしやすく、気軽に外に出ることの出来る新年です。

昨年は仕事の忙しさを言い訳に、ブログの更新が滞っておりましたが、今年は新作も含めて建築についての様々なことをブログにてご紹介できたらと思っております。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

# by acehatano | 2016-01-02 20:47 | その他
2015年 03月 10日
京町家のリフォームについて ♯02
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(京都市京町家施策集)


少し間があいてしまいましたが、京町家の調査編です。
調査とは基本的に現地調査のことを示しますが、京都市における京町家の現況についても簡単に紹介してみたいと思います。
京町家の厳密な定義はありませんが、一応京都市の基準によると、

■京都市内で「戦前」に建設された、伝統的な軸組木造の建物で、瓦葺き、平入り(屋根の低い側が建物の正面になっている形式)の大屋根をもつ。
■大戸、木枠ガラス戸、木格子、虫籠窓(むしこまど)、土壁、漆喰壁など京町家の特徴を有する外観。
■間取りにおいて、通り庭、続き間、坪庭、奥庭、などがある。

また、現在の京町家の原形が出来たのは江戸時代中期。現存しているものの大半は明治時代以降のものだそうです。幕末に多くが火災で焼失したらしく、江戸時代のものは全体の約3%ということです。

平成22年の調査時点で京都市内には約48000軒の京町家が存在しているということですが、1年につき1.5~1.8%づつ取り壊されているという調査データがあるので、毎年720~860軒が消失していることになります。現在平成27年なので、この想定によると計算上はこの5年で4000軒ぐらいは消失しているのではないかと思われます。ということは現在で44000軒ぐらいでしょうか?

数字で考えると、凄い勢いで無くなっていますね。理由は明確にはなっていませんが、相続上の問題や、老朽化で維持修理費用が大変なこと、耐震や防火に不安があること、など色々あると思います。市街地中心部においてはマンションやビルに建て替えた方が収益性が高いことも取り壊しの主な理由だと思います。

興味のある方は、詳しくは京都市の平成20・21年度「京町家まちづくり調査」記録集のサイト
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000089608.html
をご覧になって下さい。

今回リフォームする物件は、木枠ガラス戸、木格子、虫籠窓、土壁、漆喰壁など、京町家の特徴をほぼ全て網羅していると言って良い建物です。他に現地を調査して、分かったことは

■「織屋建て」である。これは、西陣地区に特徴的な町家の形式で、自宅で機織りをする職住一体の住居形式で、1階の奥の間が土間になっていてそこで昔西陣織りの布を織っていたことから名付けられました。
■3軒の連棟長屋形式である。これは、界壁を共有するかたちで、3軒の住宅が並んで建っている形式のことです。京町家の中では「長屋型京町家」という分類になります。

この長屋型京町家というのは、意外と多くて京町家全体の中で約28%もあり、4軒に1軒は長屋型であると言えます。割合から計算すると約13500軒も存在します。
この長屋型という形式は、元々は1人の大家さんが長屋1棟を所有していたのですが、時間の経過と共に所有権が売買されて現在では1棟の中にある複数の住戸をそれぞれの住人が所有していることが多くあり、構造補強のリフォームを行う際に問題が発生します。

どういうことかと言うと、連棟長屋は構造的には1棟の建物なのですが、その1棟の建物に3世帯の別々の所有者が居る状態です。構造補強のリフォームをしようと思っても、3世帯の所有者が全員揃ってリフォームのタイミングを合わせなければ、耐震補強は十分に出来ない。ということになります。現実的には、リフォームしようと思うタイミングが、3軒一致することはまずありえません。

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そこをどうするか?そして、保存改修をどう進めて行くか?というのも問題であると感じます。長くなりましたので、また次回調査編の続きにてご紹介したいと思います。
(つづく)

# by acehatano | 2015-03-10 22:09 | 建築
2015年 01月 28日
京町家のリフォームについて ♯01

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当事務所では現在、京町家リフォームの設計に取り組んでいます。

ご依頼頂いたのは戦前に建てられた京町家で、当時の伝統的な意匠が多く残っているという非常に魅力のある建物のリフォームです。最初に拝見した際に、これは出来る限りそのまま残すことは出来ないか?という素直な気持ちが湧きました。


一般的に建築家というのは常に新しいことを提案して、新しいものを建てたりリフォームによって全く違ったものに生まれ変わらせる。といのが使命のように考えられがちです。しかし、こういう歴史が積み重ねられた建築物に対しては、建築を行った先人に敬意を払いながら、どう修理して残していくか?ということも考えます。つまり、全く逆ですが、いかにして変えないか?ということがテーマの1つになります。現代の住まいに対するに要望をまとめつつ、最小限手を入れる部分を見極めて快適に生活して頂くことを目指します。


と言っても、昔は良かったという結論でもって、単純に修理するだけにとどめる訳ではありません。現代の住まいに関する施主の基本的な要望というのは、町家だから、リフォームだから新築と特別違うか?というと、そのようなことはありません。新築であれ、リフォームであれ、今の生活スタイルに合う、快適で楽しい住空間が欲しいと思う気持ちは全く同じです。それにしっかり対応しなければ、安心して長く住むことは出来ません。


・耐震(地震に対して強いこと。)

・断熱(夏涼しく、冬暖かいこと。エコ。)

・通風(風通しが良いこと。)

・採光(室内が明るいこと。)

・遮音(隣家に音が漏れないこと。外部の騒音を遮ること。)

・安全(防犯、防火、防水など)

・素材(強度、耐久性、美観など)

・設備(照明、キッチン、浴室、洗面、トイレ、エアコン、床暖房、給湯器、換気扇など)


これら基本的な要素を考慮して、プランニングしていくのは普通の新築住宅の設計と全く同じです。

ただ、既存の建物があるので、それを前提として考えないといけないので、最初にその建物を良く知ることが大切です(物理的な面でも、文化的な面でも)。特に先人の知恵が詰まっていると考えられる伝統的な住まいの形式は、良く調べて考える価値があると思います。そして、その調査をベースにした提案が大切だと考えます。


次回は調査について書いてみたいと思います。

(♯02 につづく)



# by acehatano | 2015-01-28 21:44
2015年 01月 23日
OAK FRAME MIRROR

幅:800㎜×高さ:1800㎜ 大型の姿見です。

玄関に設置する姿見をデザインして欲しいというご依頼を頂きました。お出かけする時に、靴までしっかりと身だしなみをチェック出来る大きさで、枠は細くてシャープなイメージ、それを木製で。というご要望でした。

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軽やかなデザインで、空間に違和感無く溶け込み、部屋を広く見せる効果もあります。また目の揃ったオーク材の枠は上品なあたたかみがあります。


(加工について)

枠を細く仕上げる為には、強度の限界まで枠を細くすれば良いのですが、細くし過ぎると木枠の強度が足りなくなります。そこで、前から見ると細く見えるように加工して、背後に丈夫なフレームを仕込みます。さらに、今回は鏡のサイズが特に大きくて重量があることから枠をしっかり組み付ける為に接合部分も十分な強度の出る接合方法を採用しています。木工用語では「隠し5枚留め接ぎ」と言います。細さと耐久性の良いバランスを探ってみました。見た目はシンプルですが、見えないところにもこだわっています。さらに鏡を綺麗に見せる為の細かい工夫もしてあります。

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他には、将来鏡を別の場所に移動するかもしれないという可能性を考えて、木製のフックを製作し、そこに鏡の背面を引っ掛けるようにして設置しました。これは、シェーカー家具や建築家/ルイス・カーンの家具(ユニタリアン教会)などで使われていた手法を応用したもので、とても安定感があります。そして、移動も大人が2人いれば簡単に出来ます。設置位置も現地でしっかり見極めてから設置したので、きっと当分は動かさないものと思いますが、寝室などに移動して設置することも可能です。


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設計オーダーをご希望の方はメールを頂けると対応可能です。
ご希望のサイズ、素材、仕上にて製作致します。

thatano@kyoto.email.ne.jp

まで。お待ちしております。
(但し一品生産でハンドメイドになりますので、完成まで時間は少々かかりますのでご了承下さい。)



デザイン・製作:波多野一級建築士事務所 + 坂田卓也製作所

材:オーク

仕上;オイル仕上



# by acehatano | 2015-01-23 22:21 | 作品
2015年 01月 20日
右京の家

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「庭と家具について考えた家」


住宅は敷地があってのものです。敷地の周辺環境を注意深く読み取って建物に光を取り入れること、風を通すこと、緑を植えること。これは建物の設計でもあるのですが、庭についての設計でもあります。


庭によって近隣住宅との距離を適度にとることでお互いの関係を良いものにし、十分なプライバシーの確保された室内空間をつくります。

又、自然環境の良い方角に向けて家を開放することや、良好な眺望などを庭を通して家に取り入れることも可能です。


建物本体を機能的に計画することも大切ですが、こういった敷地を生かす庭の計画は、安心して、落ち着いて暮らす為にはとても大切なものです。


また、部屋や各スペースには、それぞれに合った良い家具というものが大切になってきます。家具は、直接手や体に触れる部分でもあり、居心地の良さをダイレクトに感じる要素でもあります。そういう理由から、家具は素材や仕上を選んで、空間と一体的に設計しています。


建物本体だけでは無くて、敷地の周辺環境から外部空間としての庭、内部空間、そして家具までを連続的に考えて設計し、それらが生活の楽しみを支える。そういうことを考えた住宅です。



建築設計:波多野一級建築士事務所 + moda architects

構造設計:造形工学研究所 福永毅

建築施工:株式会社高橋工務店

造園:田中美穂植物店 + 庭彩宮の + オマメプランツ

家具:波多野一級建築士事務所、坂田卓也製作所(ダイニングテーブル・ベンチ)、村上椅子(ソファクッション)


竣工写真:沼田俊之







# by acehatano | 2015-01-20 00:12 | 作品