カテゴリ:狂言( 6 )

2008年 01月 11日
能舞台の感想
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新年早々に、大津市伝統芸能会館で狂言の発表会があり、本格的な能舞台に初めて立ちました。「柑子」の太郎冠者を演じたのですが、習い始めて2曲目なのでまだまだ・・という感じでした。なので今回は能舞台の感想について書こうと思います。

舞台のサイズは約3間四方を4本の柱で囲われたスペースで、柱の上には頭貫(かしらぬき)が鉢巻き状に掛けられており、斗(ます)と肘木(ひじき)を介して梁と桁が載り、その上に大屋根が載せられます。その舞台に左奥方向から約7尺5寸巾の橋掛かりが付きます。床はヒノキの無節柾目材で一枚の巾は約1尺、長さは2間以上あります。普通の建物ではまずありえない高級材料です。

観客から見て最も重要なのは、柱と頭貫で囲われた舞台の額縁となる部分です。そのプロポーションはやや鈍重な長方形なのですが、上に載った大屋根が斗と肘木によって切り離され、空中に浮いているように見せるデザイン、大きなスケール感とあいまって、非日常的な雰囲気を醸し出しています。
一方、舞台に立つ側から見ると、大屋根は影になるのであまり見えず、視界の両端に柱と貫が良く見え、そのスパンがあまりに長く柱が細いので非常に大きなスケールの空間に立っていることを感じます。特に高い位置に掛けられた貫の存在により、浮遊感を感じます。

能舞台のデザインで重要なのは、大きめのスケールと浮遊感のあるデザインによる、非日常性の演出ではないか?と今回は感じました。

by acehatano | 2008-01-11 21:35 | 狂言
2007年 10月 31日
狂言  三笑会
京都府立芸術文化会館に、狂言「三笑会」を見に行きました。
大蔵流狂言師の松本薫さん、丸石やすしさん、網谷正美先生を中心とした定期公演会です。3演目+舞×3という充実の内容で、前売り1200円はかなりお得な内容です。又、気軽に見に行けて、とにかく面白いです。
(三笑会は能舞台ではなく、和室の大広間、又は劇場を使って演じられます。)

私も伝統芸能を知らなかった時は、狂言がどんなものか分からず、難しい堅い芸能だと思っていましたが、実は何も考えずに見て笑えるというのは吉本新喜劇を見るのにも匹敵する気軽さがあると思います。しかも、約650年の歴史によって洗練された所作は美しく、芸術的です。見たことが無いかたは是非お勧めです。(次回公演は2月だそうです。)

幕間に、井口竜也さんから狂言の特徴に関する解説があったのですが
・約650年前に始まった。
・基本は喜劇である。
・屋外の広い場所で行われる劇だったので、表現は大げさにする。
・大道具は無い(舞台背景等は作らない)。台詞で背景をイメージさせる。つまり台詞劇。
・場面転換は、舞台内を歩くことと台詞によって行われる。

私的には、「大道具が無い」というところがとても気になります。能舞台は3間四方(約5.46m×5.46m)の空間なのですが、その中で目には見えない、ありとあらゆる場面が台詞と所作によって表現されます。物質的には何も表現していない「無」の空間なのですが、それが逆に想像力をかき立てて、劇をより面白くしていると思います。そして、劇が終わった後はまるでサーカス小屋が無くなった空き地のように、無の空間へと戻ります。
ここに私は、日本の粋というか風流を感じるのです。

by acehatano | 2007-10-31 01:39 | 狂言
2007年 09月 29日
京都の名水・柳の水
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Photo by MEDIA SKIN


以前ブログで書いた、狂言「清水」に登場する京都の名水「柳の水」を汲みに行きました。
千利休に愛されたという京都の名水です。

京都の中心部にある井戸水は、地下鉄が開通して以来水量が減ったり変質したりして駄目になったという話を良く聞きましたが、この柳の水は地下鉄の路線に囲まれながらも全く影響がなく、味も昔のままだそうです。その場で飲んでみたのですが、とても軽やかで素直な味です。吸収が良さそうで、体にすっと染み込む感じがしました。

井戸は「馬場染工業」という染め物屋さんの通り庭にあるのですが、近所の人が当たり前のようにやってきて主人に挨拶し、汲んで行くという水を通してのコミュニティが出来上がっているようでした。又管理がしっかりされているので、ポリタンクを大量に持ち込んで汲んでいく人も居なさそうで、それぞれお茶やコーヒーを楽しむのに必要な分だけ持ち帰って行くのが、とても清々しい風景に思えました。

私も、家に帰って早速お茶を入れてみました。(普通の焙じ茶ですが)
これで、設計の仕事も狂言の練習も軽やかにはかどるというものです。

場所:京都市中京区西洞院通三条下る柳水町 馬場染工業敷地内
取水時間帯:8:00〜18:00(日曜休み)

by acehatano | 2007-09-29 20:46 | 狂言
2007年 06月 01日
狂言・清水(しみず)
狂言のワークショップが終了してから、早2ヶ月です。当初は演劇関係はどちらかというと不得意な分野なので、続けるつもりは全く無かったのですが、意外に稽古事としての負担が少ない事。台本と所作の素晴らしさと奥の深さに興味を引かれてしまい、あともう少し続けたいと思うようになり、再び網谷先生の教室に通う事になりました。
今回の演目は「清水」です。台詞の中に京都の昔の名水が3つ出てくるのですが「醒ヶ井の水」「柳の水」「野中の清水」です。この演目の主な舞台になる「野中の清水」は実在しない架空の場所だそうですが(京都ではなく、神戸市西区に実在したそうです。(10/2訂正))、「醒ヶ井の水」と「柳の水」は実在し、特に「柳の水」は今でも有料ですが飲めるそうです。場所は中京区西洞院通三条下ル、現在はどんな味なのか・・・近々行ってみようと思います。

by acehatano | 2007-06-01 00:00 | 狂言
2007年 03月 29日
狂言「土筆(つくづくし)」
先日、京都芸術文化会館にて狂言ワークショップの最終日に「土筆(つくづくし)」の発表会がありました。
応(アド)は大蔵流狂言師の網谷正美先生、仕手(シテ)は私が勤めさせてもらいました。前日に知ったのですが、狂言の舞台ではメガネやアクセサリー類は厳禁で、全て外して演じなくてはなりません。という訳で、ほとんど観客の顔を識別出来ないので、あまり緊張せずに演じる事ができました。

しかし、舞台など小学生の学芸会以来。スポーツでは、剣道、体操、モトクロスなど観客の前に立つ事はあったのですが、今回はやや勝手が違います。どういう気分で臨めば良いのやら迷っていた所、ワークショップ仲間から色々なアドバイスが・・。一つは「無理に笑いを取りに行くと滑った時に焦るから、無理をしない。とにかく自分の世界に没頭する事、その結果笑いを取れれば良しとする。」という高田君。そして「シテはとにかくハイテンションで演じないと駄目。台本上アドはシテよりもテンションを上げられないように出来ているから。」という中島君。あと「声をわざと小さくして変化を付けようとせず、大きな声で演じるように。」という網谷先生。

結果、私の作戦はとにかく全力で演じる事。気分として一番近いのは剣道のぶつかり稽古。やはりそれはスポーツと同じではないのか??と思いながらも、終わってみれば先生の抜群の間合いと、全力でやった甲斐あって少し笑いも取れたようでした。

発表会後の打ち上げで、「狂言役者は、一般的な喜劇の演出と違って笑わせようという意図を持って演じてはいない。声や台詞の力によって、真面目に演じる事が結果として面白さを生み出すのです。」と網谷先生が言われていたのが印象的でした。という事は、私の作戦はあながち間違ってはいなかったのでしょうか?いや、多分もっとハイレベルな話なのだと思いますが、古典芸能の奥深さを少し知る事が出来た楽しい1ヶ月でした。

by acehatano | 2007-03-29 03:33 | 狂言
2007年 03月 09日
狂言
京都府立芸術文化会館で「狂言」の古典芸能ワークショップに参加しています。
伝統芸能が身近なのは京都ならではの利点ですし、一度習っておきたかったという事と、建築士としては、舞台を作る側ー使う側(演じる側ー見る側)の両方を経験しておくのも重要なことだと思ったからです。

全部で10日間のワークショップですが、昨日で4日が終了しました。実際に狂言を演じてみるのですが、見ているのとは違って、基本の姿勢や動作は思ったよりも筋力が必要で、特に脚部に負担がかかります。台詞も古語なので、毎日ICレコーダーで台詞を聞いて暗記しています。

舞台は「土筆(つくづくし)」で、仕手と応の2人一組で行います。しかし、私の相方予定の方が腰痛によりワークショップをリタイヤされたので(早く良くなって下さいね)、何と私の相方は講座担当講師の大蔵流・狂言師の網谷正美先生になりました。

初挑戦で、こんな贅沢な事はありません。これはかなりの幸運と言えます。・・・しかし、これで忙しいのを理由に手を抜く事が出来なくなりました。こうなったからには、必死で覚えるしかありません。

by acehatano | 2007-03-09 10:42 | 狂言