カテゴリ:建築( 94 )

2017年 05月 24日
木のデッキテラスとNYチェアー
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私は木製のデッキテラスを必ずと言って良いほど、庭の一部に設計します。
今のように気候の良い季節に、屋内から庭に出るときの気持ちの良い感覚をより楽しみたい、という思いがあります。そしてその提案に対してお客様が共感して下さる、又は設計当初から要望されることも多いです。

設計していて毎回思うのは、デッキテラスに似合う家具が意外に少ないことです。この写真のNYチェアは1970年に日本で生まれた折りたたみ椅子の名作ですが、本来は屋内のリビングで使う安楽椅子です。

座り心地が良くて、軽くて丈夫、コストと価格のバランスが良く、見た目も美しく、普通に使っても素晴らしい椅子なのですが、たまたま竣工写真撮影の時にデッキに置いてみるとより一層デッキを魅力的に見せてくれることに気づきました。

それ以来、デッキ用の椅子のお勧めを聞かれるとNYチェアです、と答えるようにしています。但し本来は屋内用なので、普段は屋内に置いておくことをお勧めします。折りたたみ椅子なので、使わない時は折りたたんで収納出来るところも便利です。

何だか椅子の宣伝のようになってしまいましたが、この椅子に負けないような魅力的なデッキテラスのある空間を設計したいと思っています。

設計 : A.C.E. 波多野一級建築士事務所
撮影:沼田俊之

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by acehatano | 2017-05-24 21:43 | 建築
2017年 05月 22日
岩倉の森になる住宅群
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植物の育ち具合を見に伺ったハレニワの家。記録写真を撮っていたら、既にご入居されている方から話しかけられました。多くの樹木のある空間を楽しんで暮らして頂けているとのお話が聞けて大変嬉しかったです。又私の想像以上に設計コンセプトを理解して頂いていました。

まだ完成して間もないですが、植物も順調に育っていて、近い将来新たな岩倉の森が出来上がるのが想像出来ました。

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by acehatano | 2017-05-22 01:48 | 建築
2017年 04月 22日
植物と共に暮らすこと
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春は新緑の季節です。
昨年設計監理した北白川のお花屋さん(+住宅)に伺いましたが、2階と3階の窓辺にも新緑が芽吹き始めていました。

上階のバルコニー状の部分はプランターボックスのサイズに合わせて作った花台です。家の中からも緑が楽しめて、道行く人から見てもお花屋さんらしい、植物に彩られた風景が作れます。さらに、夏は強い日差しが緑の葉っぱに遮られて、涼しく過ごせるという効果も期待出来ます。

街中では周囲の景色が良くなかったり、庭が十分確保できなかったりすることもあると思いますが、鉢植えや屋内の観用植物に囲まれて暮らすというのも良いものです。特に今回はお客様が植物のプロということで、色々インスピレーションを頂いて設計してみました。住む人が植物と共に暮らしながら内外の風景を育てていくということを考えた建物です。


北白川のお花屋さん : joujou flowers
京都の建築設計事務所 : A.C.E. 波多野一級建築士事務所

by acehatano | 2017-04-22 21:55 | 建築
2017年 04月 13日
クリ無垢材の経年変化について
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竣工してから5年目の「北山の家」に伺いました。
栗の無垢材フローリングが経年変化によって、非常に良い色になっていました。新築の時よりも味わいが増していて、大切に使って頂いているのが分かってとても嬉しい瞬間です。

新築時はどんな色だったのか?確かめる為に竣工直後の写真を見てみると、その大きな違いに驚きます。新しい木の色も好きですが、年月を経て独特の深みが増した色はさらに良いものだと実感しました。

設計 : A.C.E. 波多野一級建築士事務所

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新築時

by acehatano | 2017-04-13 21:57 | 建築
2016年 09月 24日
Dari K 新大宮本店 開店のお知らせ
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今春より設計監理しておりました 「Dari K 新大宮本店」 が10月2日(日)にオープンしますのでお知らせします。

2016年10月2日(日曜日)
AM10:00〜

京都市北区紫竹西高縄町72-2
(新大宮商店街内。大宮通今宮より二筋北です。)
http://www.dari-k.com/

Dari Kは、2011年創業のチョコレートショップで、インドネシアより高品質なカカオ豆を買い付け輸入し、日本でチョコレートを製造販売している会社です。

ユニークなのは
・日本で0.3%しか流通していないインドネシア産のカカオ豆を使ったチョコレートを作っていること。(ガーナ産が約8割を占めている。)
・カカオ豆の調達、発酵、輸入、焙煎、製造まで一貫して自社で行っていること。
・製菓用のクーベルチュールを使わず、カカオ豆の成分そのままでチョコレートを作っていることです。

これを実行することが、どれだけ難しいことかは代表の吉野慶一氏の話を聞いて、インドネシアの農園まで視察の旅に行くまで理解出来ませんでした。写真はインドネシア現地のカカオ豆です。
シンプルに、良い素材を手に入れて美味しいものを作るのが目的、という話なのですが・・・。しかも、輸送距離の短い近隣の国から入手することも鮮度や環境問題という点で大切だと思います。

近くの良質な材料を入手することは、木材を取り巻く世界にも似ている気がしました。良い素材を入手するのって意外と大変。。。様々な素材を使って建築を設計する者としても共感出来る点が多くありました。

詳しくは、是非ご賞味下さい(^^)。チョコレート好きな方は衝撃を受けること間違い無しの美味しさです。
そして、そのついでと言っては何ですが当事務所が設計したインテリアもご覧下さい。インドネシア由来の素材やチョコレート由来の素材にも拘って使ってみました。

カカオ豆やチョコレートの製造過程も理解出来るようなプチ・チョコレート・ミュージアムとしての店舗になる予定です。開店まであと少し、最後の追い込み頑張ります。インテリアはまだ工事中なので、後日アップする予定です。

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by acehatano | 2016-09-24 16:54 | 建築
2016年 09月 08日
日事連建築賞 
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平成28年度 日事連建築賞において「右京の家」が奨励賞を受賞しました。
クライアントならびにこの計画に携わり、ご協力頂いた皆様にお礼申し上げます。

これからも良い建築を作れるよう日々頑張っていきたいと思います。

by acehatano | 2016-09-08 22:22 | 建築
2015年 03月 10日
京町家のリフォームについて ♯02
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(京都市京町家施策集)


少し間があいてしまいましたが、京町家の調査編です。
調査とは基本的に現地調査のことを示しますが、京都市における京町家の現況についても簡単に紹介してみたいと思います。
京町家の厳密な定義はありませんが、一応京都市の基準によると、

■京都市内で「戦前」に建設された、伝統的な軸組木造の建物で、瓦葺き、平入り(屋根の低い側が建物の正面になっている形式)の大屋根をもつ。
■大戸、木枠ガラス戸、木格子、虫籠窓(むしこまど)、土壁、漆喰壁など京町家の特徴を有する外観。
■間取りにおいて、通り庭、続き間、坪庭、奥庭、などがある。

また、現在の京町家の原形が出来たのは江戸時代中期。現存しているものの大半は明治時代以降のものだそうです。幕末に多くが火災で焼失したらしく、江戸時代のものは全体の約3%ということです。

平成22年の調査時点で京都市内には約48000軒の京町家が存在しているということですが、1年につき1.5~1.8%づつ取り壊されているという調査データがあるので、毎年720~860軒が消失していることになります。現在平成27年なので、この想定によると計算上はこの5年で4000軒ぐらいは消失しているのではないかと思われます。ということは現在で44000軒ぐらいでしょうか?

数字で考えると、凄い勢いで無くなっていますね。理由は明確にはなっていませんが、相続上の問題や、老朽化で維持修理費用が大変なこと、耐震や防火に不安があること、など色々あると思います。市街地中心部においてはマンションやビルに建て替えた方が収益性が高いことも取り壊しの主な理由だと思います。

興味のある方は、詳しくは京都市の平成20・21年度「京町家まちづくり調査」記録集のサイト
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000089608.html
をご覧になって下さい。

今回リフォームする物件は、木枠ガラス戸、木格子、虫籠窓、土壁、漆喰壁など、京町家の特徴をほぼ全て網羅していると言って良い建物です。他に現地を調査して、分かったことは

■「織屋建て」である。これは、西陣地区に特徴的な町家の形式で、自宅で機織りをする職住一体の住居形式で、1階の奥の間が土間になっていてそこで昔西陣織りの布を織っていたことから名付けられました。
■3軒の連棟長屋形式である。これは、界壁を共有するかたちで、3軒の住宅が並んで建っている形式のことです。京町家の中では「長屋型京町家」という分類になります。

この長屋型京町家というのは、意外と多くて京町家全体の中で約28%もあり、4軒に1軒は長屋型であると言えます。割合から計算すると約13500軒も存在します。
この長屋型という形式は、元々は1人の大家さんが長屋1棟を所有していたのですが、時間の経過と共に所有権が売買されて現在では1棟の中にある複数の住戸をそれぞれの住人が所有していることが多くあり、構造補強のリフォームを行う際に問題が発生します。

どういうことかと言うと、連棟長屋は構造的には1棟の建物なのですが、その1棟の建物に3世帯の別々の所有者が居る状態です。構造補強のリフォームをしようと思っても、3世帯の所有者が全員揃ってリフォームのタイミングを合わせなければ、耐震補強は十分に出来ない。ということになります。現実的には、リフォームしようと思うタイミングが、3軒一致することはまずありえません。

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そこをどうするか?そして、保存改修をどう進めて行くか?というのも問題であると感じます。長くなりましたので、また次回調査編の続きにてご紹介したいと思います。
(つづく)

by acehatano | 2015-03-10 22:09 | 建築
2012年 08月 17日
広沢池 灯籠流し
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京都では毎年8月16日は、五山の送り火が焚かれます。ご先祖様の精霊を浄土に送り届ける為の大切な行事です。

今年は五山の送り火と同時に行われる、「広沢池 灯籠流し」を見に行ってきました。
広沢池は1000年以上の歴史がある人工の池なのですが、周囲の景観が良く保たれており、京都の中でも最も美しいと思える場所です。そこに、日暮れと共に無数の灯籠が浮かべられ、静かにゆっくりと西から東に向かって流れて行く様はとても情緒があって、美しく、神聖な気持ちになります。これは言葉では無くて五感を通して感じ取れる、光と空間の力だと思いました。

夜空には星が見え、流星が流れ、近くの神社では雅楽が演奏され、後ろには鳥居形の送り火が焚かれているという素晴らしいシチュエーションです。これは、是非毎年訪れたいと思いました。

by acehatano | 2012-08-17 21:23 | 建築
2012年 08月 04日
「西陣の家」2年目
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2010年の初夏に竣工した「西陣の家」に伺ってきました。
西陣地区は京都の中でも、古くから栄えた街区で古い町家が多く残る地域です。また、この住宅が建っている場所は豊臣秀吉の聚楽第があった場所の近くでもあり、落ち着いた風情のある町です。

この古くて落ち着いた町の表情をつくり出しているのは、伝統的な町家の意匠や狭い道路と低めのスケールももちろん大切な要素なのですが、私は建物に使われている素材が大切な役割を果たしていると感じました。そこで、建物の外観を西陣地区の伝統的な建物に良く使われている「黒漆喰」「白漆喰」「杉板」で構成しました。

これらは、時間を経て味わいが増す素材です。竣工した瞬間より歳月を経て段々町に馴染んでくることが楽しみでもありました。しかし、この風化というプロセスは自然の力に任せることでもあるので、私のイメージ通り仕上がるものでもありません。元々人工的な構築物である建築に、自然と歳月の力による仕上げを加えることで一層深みが増すのではないかと考えました。

今年は竣工から2年目ですが、順調に風化していました。「黒漆喰」は若干薄墨色になり少し貫禄が出てました。又、「白漆喰」は純白のままで少しヒビ割れがありましたが、全く問題の無い範囲。「杉板」は予想以上に綺麗に均一に日焼けしていました。
(後でお聞きしたのですが、均一に焼けていたのはお施主様が「杉板」の手入れを良くして頂いていたからだ、ということが分かりました。)

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そして、最も変化の大きかったのは南庭のデッキ床の「杉板」でした。シルバーグレー色で綺麗な風化具合です。奥の壁面の杉板と比較して頂くと風化の度合いの違いが分かって頂けると思います。竣工当時は同じ色でした。人によってはこれを汚れている、と感じてこの段階で濃い色に塗装される方もおられます。お施主様は、良い色だと感じて頂いていたようで、このままでOKです。というお返事を頂きました。我が意を得たり、という嬉しいご意見でした。

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室内の床も良い色合いになってきました。建築は出来上がった瞬間よりも、年を経るごとに美しさが増すものであって欲しいと思いました。

by acehatano | 2012-08-04 00:05 | 建築
2012年 07月 01日
「たる源」の桶
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昨年竣工した「花園町の家」のお客様に追加設計のご依頼を受けて伺い、そこで浴室用の新しい「桶」を見せて頂きました。京都では有名な老舗の「たる源」の風呂桶です。実は初めて見たのですが、一瞬で心を奪われるとても美しい桶でした。

まず、材料のマキが厳選されており、木目の揃い方や色、質感に至るまでほぼ完璧な材だと感じました。これだけの良材を使うのは小さな桶用の材料だから可能であって、沢山入手して大きなものを作るのは難しいと思います。また、継ぎ目やエッジの仕上げが手に馴染むように、触覚を研ぎ澄まして丸みをつけて作られています。小さな桶ですが、感覚を触発される良い作品でした。

これを使って頂く浴室がこちらです。

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床と腰壁は秋田県産の十和田石を使っています。十和田石は伊豆石と並んで、日本の浴室や温泉の床に使われている代表的な素材です。特徴はとても足触りが良くて、触覚的に柔らかく、お湯で濡らすととても綺麗な深い青緑色になります。また、壁と天井は国産ヒノキの無節貼りとしています。さすがにたる源のマキ材に比べると平凡な材に思えますが、これでも建築用としてはかなりの良材です。ここまで来ると浴槽もヒノキなのでは?と思いますが、お手入れのし易さという点で大変ですのでTOTO製を使っております。ちなみにヒノキの壁面は、メンテナンス性は大変優れております。

一生懸命考えて作った浴室ですので、その中で使う「桶」もしっかり選んで頂いたことが大変嬉しいことでした。また、人と物と空間がしっかり調和することが大事なことだと改めて感じました。

現在、新たなご依頼によりこの浴室に設置する「浴室用の椅子」をデザインしております。「浴室」「桶」「椅子」の3点が揃ったときにブログにてご報告させて頂きたいと思っております。


by acehatano | 2012-07-01 23:28 | 建築